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おとなりの研究者
情報・システム研究機構
機構長

統計数理研究所
モデリング研究系
准教授

東京大学地震研究所
准教授

筑波大学
ビジネスサイエンス系
教授

京都大学
情報学研究科
助教

file01:「逆問題」の練習問題

「逆問題」のアプローチについて、簡単な例で考えてみましょう。A+B=10である。AとBはいずれも自然数(1, 2, 3……)であるとしましょう。AとBはそれぞれいくつでしょうか?

もしA=1だったら、B=9です。A=2なら、B=8ですね。このように考えていくと答えは複数ありますね。一意に決まらないですよね。確かに数学的には条件が足りないから、解けないんです。……で、それで終わりでしょうか?

現実世界を振り返ると、このようにどれが答えなのかわからない場合が、よくあります。それでもわれわれは、だいたいこのあたり、という答えを持っていたりする。1クラスの中でA=7 B=3の回答者が7割、A=8 B=2 の回答者が3割とか。たとえばものを作っていて、とても答えを絞り込めないのだけれども、熟練工に聞くとだいたい同じ予想をしていたりとか。

そのような時、ひとつには、私たちはいったいどうやって解を導いたのか、その頭の中のプロセスを明らかにして数式で表し、さらには状況証拠などのデータを使うと、計算によって問題を解くことができます。もう一つには、たとえばA=3で、B=6ぐらい、といった回答もあるかもしれません。式に書いたら合っていませんけれども、現実社会ではそもそも10であるというところが大して重要じゃないんだ、ということだってあり得ますね。

さらに、もし実際にリアルな問題と照らして、その中に答えがないような場合には、問いそのものを変えることも大事です。A+Bは、本当に10なのか?─というわけです。このように考えてみると、われわれは案外こういう考え方に慣れていないことがわかります。しかしもし数式で書くことができれば、再現性のあるツールになりますから、社会や産業の中で問題を解く力になる。逆問題は、応用力の試金石なんです。

TEXT : Tomoyuki Higuchi, Rue Ikeya  DATE : 2010/09/03