file 02:ウエットな研究者

私たちは、数物系の方など、主に理論やコンピュータ解析をされる研究者を「ドライ系」研究者と言い、それに対して私のように生物実験を主にやっている人間を「ウエット系」の研究者と呼びます(笑)。

研究を進めるにあたり、このウエット系とドライ系研究者がタッグを組むわけですが、やってみるとすごく難しい(笑)。近年は、「異分野融合」が推奨されていますが、まず、異分野にありながら、ある1つのテーマに関して「それなら、やってもいいよ」という意志を、両者が持たなければならない。そして、とにかく最初はやはり各々の「専門の言語や常識」が通じないので、お互いがお互いの方向に向き合い、歩み寄らないといけないのです。

今一緒に研究させていただいている先生は、生物学分野、社会学分野、その他さまざまな分野の複雑系の現象からのシミュレーション・モデル構築を行っていらっしゃいます。私の研究は、その生物学分野バージョンという位置づけでもある。私たちの研究室では、生の実験データを出すことができます。しかしシミュレーション・モデルの構築まで辿り着くためには、私たちがきちんとした手順で下処理したデータを用意する段階までもっていかなければなりません。

時系列に沿った一定の形態形成がなされる発生学の世界では、計測技術の発達により、数理学分野との融合が進んでいて、ある一定の条件下でシミュレーション・モデルが構築できるぐらいに発展してきています。しかしながら、私たちの研究では、個体の包括的な反応が解析対象であるため、データのゆらぎ振幅は大きくなると予測され、シミュレーション・モデル構築が困難であると思います。それも重々承知の上で、挑戦してみたいと話しています。