file 01:キュレーターとは?

「キュレーター(curator)」というと、確かに現代美術の仕掛け人といった響きはあります。特にキュレーターが作家の方たちと結びついていて、彼らを擁護して、世に出していくといった関係性は、ひとつのパターンでしょう。しかし日本では、あまりそういう意味合いはないんですよ。僕もそういう意味ではキュレーターではないから、「学芸員」のほうがいいですね(笑)。

一方、現在でも、海外の現代美術系のエキジビションやビエンナーレといった催しでは、たいへん力のあるチーフ・キュレーターが立つことがほとんどです。しかし一般に、海外でキュレーターというとまず研究者であるという前提がありますね。そして、ある作家あるいはある分野についての、ものすごいスペシャリストを指すことが多いです。たとえば藤田嗣治の展覧会をするとなったらフランスのあの人に頼めばいい、他の人ではなかなか成立しないといったことがあるんですね。