file 02:「薄い」は壊れない

電子機器は落としたりして強い衝撃が加わったら、バーンと壊れてしまいます。ガラスのように硬い場合はもちろん、プラスチックを使うことでだいぶ壊れにくくなっていても、もっと壊れにくくしたい、と考えました。電子機器はむしろ壊れるのが当たり前なので、保護するためにシャーシと呼ばれる硬い筐体で被って壊れにくくするのが普通です。

しかしわれわれは、半導体そのものを壊れにくくすることに注力してきて、そういうなかで引っ張っても壊れない、叩いても壊れない、本当にくしゃくしゃにしても壊れないということを技術的な課題と捉え、1つ1つ解決してきました。そういうことを実現する上で大きなポイントとなるのが、基材となるプラスチックフィルムを薄くしていくことなんですね。

つまり、薄くしていくと、曲げた時の歪みに強くなるんです。たとえば下敷きに力を加えていくと、始めはよく曲がりますが、ある程度までしなったところでパキッと割れてしまいますね? ところがこれをすごく薄くしたら、たとえば調理用ラップのようなものだったらどうでしょうか? 曲げても、くしゃくしゃにしても、パキッと折れることはありません。つまり薄くすることによって、曲げやすくなるし、曲げるような力が加わっても壊れにくくなるということなんです。われわれの最新の電子回路では、プラスチックの調理用ラップの5分の1の薄さというところまで来ています。