file 01:現地NGOポポフについて

僕は1980年代、アメリカの動物学者 ダイアン・フォッシー(Dian Fossey, 1932 - 1985)についてマウンテンゴリラの調査をしたのですが、1985年にダイアン・フォッシーがルワンダで虐殺されたため、考えを改めなければなりませんでした。ゴリラを研究するためには2つのことをしなくてはいけない。1つは一緒に仕事をする現地の研究者を育てなければいけないということ。2つ目はゴリラと人間との共生をはかる、保全をしてくれる現地のNGOを立ち上げなくてはいけないということ。この2つを僕は目標にして1990年代までやってきました。ルワンダの内紛が激化し、続いてコンゴに飛び火して、ゴリラの生息地はずっと戦場でした。は全滅してしまい、ゴリラは半分殺されました。そんな中で研究を継続できたのは、やはりその2つを続けてきたからなんです。

逆にゴリラを全滅させずに済んだのは、地元の人たちがゴリラを将来の財産と考えたからです。1992年には、人とゴリラの共存を目指すポポフ(ポレポレ基金)というNGOを現地で立ち上げ、今までずっと支えてきました。ポポフは2年前に20周年を迎え、今年で22年になります。いま働いている人たちは、僕が最初に出会った人たちの孫にあたる世代です。長くつきあってきたことがひとつの財産になって、内戦難民の時代も乗り切ることができた。でも、まだ終わってない。戦争は続いているわけだから。