file 02:見せ場のあるもの

調査開始の1〜3日ぐらいは、その記録写真の中に、みなさん張り切って準備した料理が並びます。この期間のメニューの特徴は、主婦の自慢料理・得意料理で、見せ場のある、今ウケするものと言うことができるでしょう。毎年、流行があって面白いんです。

数年前に「ぶり大根」が流行ったことがあります。もちろんそこには理由がある。ぶり大根は、出すと「すごい!自分で作ったの?」と言われるような見せ場のある、ウケる料理になっているんです。それだけ非日常で、誰もが簡単に作れるメニューではなくなっていることを表しています。洋風料理ならレトルト食品や出来合い品もよくあるし、材料も常備する肉や野菜でできるけれど、「ぶり大根」はもはや素材から買わなければならない大変な料理でもあるからです。

ネットに自分の料理をアップする人の増加を「料理ブーム」と言ったりしますが、そういう人の日常料理を見ると、意外にギャップがあるものです。それは料理ブームというより、「見てもらって、評価を受けたい」自己表現ブームというべきかもしれません。かつては、そういうときにケーキを焼いたりフレンチを作る人が多かったけれど、近年は和風のヒジキ煮や切干大根のような和風総菜系やエスニック料理が多い。その方が今はウケるし、”すごい感”があるからでしょうね。ネット上に表現された自分と実像は必ずしも一致していなくても、そこはいいのだろうと思います。