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おとなりの研究者
首都大学東京
都市教養学部理工学系生命科学コース
助教

国立遺伝学研究所
生命情報研究センター
特任研究員

特定国立研究開発法人理化学研究所ライフサイエンス技術基盤研究センター
分子配列比較解析ユニット
ユニットリーダー

国立遺伝学研究所
生命情報・DDBJ研究センター
教授,副所長

国立遺伝学研究所
准教授

file 02:視覚のシステム

嗅覚受容体の複雑さとは対照的に、視覚のシステムは、その受容体遺伝子が4つしかありません。視覚の場合、受容体が受け取る刺激は光です。4つのうち3つは色覚で、それぞれ赤・緑・青を見分けます。もう1つは暗いところだけで作用し、明暗を見分ける受容体です。コンピュータやデジタルカメラなどに使われる身近な色再現システムも、この人間の視覚のシステムを反映して作られています。

色覚を司っている3種類の錐体細胞には、オプシン遺伝子が発現しています。暗いところへいくとだんだん目が慣れて見えるようになってきますが、色を区別することはほとんどできません。これは、暗いところでは桿体細胞のみが機能するためで、ロドプシン遺伝子が発現しています。

ところで感覚が認知されるためには、まず匂い分子や光のような「刺激」がなければなりません。続いて受容体が相互作用してこれを受け取ります。さらにそれが脳で解釈されて初めて、感覚が生じます。色覚では、どんな波長の光に対してどのオプシンがどれくらい活性化するか、またその時、脳がどう解釈してどういう色を見ることができるかが、すべて明らかになっています。つまり刺激受容体感覚という三者の関係が完全に理解されているのです。

ところが匂いの場合は、どのような匂い分子に対してどの受容体が活性化するかがほとんどわかっていません。そして、どの受容体が活性化したら、どのような匂いの感覚が生ずるか……これもほとんどわかっていません。このような複雑さの要因のひとつは、受容体の数が非常に多いことだと言えるでしょう。ある匂い分子が与えられた時、どういう匂いがするかをほとんど予測できないというのが、嗅覚の世界なのです。