file 01:おとなが喜ぶコンピューターを作りたかった

テレビゲームが登場したのは、私が小学校の1~2年生の頃だったと思います。あのころ、大人たちにとってゲームは「悪」でした。勉強も運動もすることなく子供たちが一日中部屋の中に閉じこもってゲームで遊ぶ。それをさせているのは、コンピューターゲームであると。やがて、体を動かすタイプのゲーム、仲間同士でネットワークをつないで遊ぶゲームなどが登場しました。それでも、大人たちは、子供たちが公園で座り込んでゲームをする姿は健全ではない、と受け止めていたのだと思います。

私自身は、コンピューターが好きで研究に取り組んでいますし、コンピューターを悪者にしたくない。では、どうしたら大人たちに喜んでもらえるコンピューターを作れるのかと考えました。そして、コンピューターと共に外に出て、体を動かし、仲間同士のつながりも生まれるようなものはできないか、というのが私の研究の始まりでした。現在は、子供たちが扱いやすく、危険を回避したり、必要な時に仲間の様子を自然に確かめたり、といったことができる装置などさまざまな実験にも取り組んでいます。