file 02:分野ごとに異なる研究アプローチ

このような研究をしていると、さまざまな研究コミュニティと協力し合います。対象は、心理学、地理情報健康管理、脳科学とさまざまです。一般に工学系の研究者は、観察的なアプローチを嫌うことが多いと感じます。個々の観察を積み重ねるというよりも、原理原則を把握しそれに従って問題解決を試みようとします。また、多くの研究者は、自分の専門領域から離れることにも慎重です。それはわかるのですが、限定的な条件における、狭い範囲での問題解決にとどまってしまうリスクもあります。コンピューターの人への影響は、さまざまな領域の研究者と仕事をする横の広がりによってわかることがたくさんあります。

実際、研究を発表する場のジャンルはバラバラで、ある時は地理情報、ある時は健康管理や医学、ある時は心理といったような状況。ではこれを「学問領域」と言えるのか? 現在は、しっかりした学問の領域を作ってしまうよりも、分野を限定せず、関心のある人、関心を持ちそうな研究者がコミットできる場を作りたいと思っています。「情報がどんな効果をもたらすのか?」という意味を込めて「情報サプリメント」というタイトルを付け、コンピューターの情報がもたらす影響について考えるというように枠を限定せず、様々な領域の人と関わり、議論したいと思っています。