file 01:高専の成り立ち

高専の登場は、今から50余年前の1962年のことである。1950年代の後半、経済成長はめざましく、科学・技術の進歩が経済をさらに前進させるものとして期待を集めていた。こうした社会状況と産業界からの強い需要を背景に、実践的で質の高い技術者養成を目的として設立されたのである。中学卒業生を受け入れ、数学、英語、国語などの一般教育とともに、実験・実習を重視した専門的な教育を一貫して行うのが特徴。実習工場では旋盤などの工作機械を完備し、技能の習得には十分な環境だ。特に卒業研究では、エンジニアとして自立できるよう応用能力を養うことを目的としており、学会で発表できるような水準の高い研究も生まれている。就職希望者の就職率ほぼ100%であることは先述したが、卒業生に対する求人倍率は約10~20倍だという。5年間の本科卒業で準学士を、さらに2年間の専攻科に進むと卒業時には学士の学位を取得できる。