file 02:イグ・ノーベル賞とは……

イグ・ノーベル賞は、1991年に創設された。人を笑わせそして考えさせるというのがその趣旨である。その言葉通り、受賞した研究は、「コンピューター・ベースで犬と人間の言葉を自動翻訳するデバイス『バウリンガル』の開発」や「銅像に鳥が寄りつかないことをヒントに、カラスを撃退できる合金開発」「滑りやすいものの代表例であるバナナの皮が、実際どれくらい滑りやすいのか、実験装置を使って具体的な数値を計測した功績」などのテーマが並ぶ。身近なアイテムの意外な効果や当たり前と思っているような現象の科学的な分析を試みるものなどで、大笑いさせると言うよりは、クスッと笑えるものばかり。受賞対象となった研究のテーマを読んでいるだけで、こちらの世界が広がるようだ。

この9年間、連続して日本人の受賞者が出ていることも、国内での知名度を向上させる要因となった。2015年には、木俣肇氏が「熱烈なキスには、どのような生物学的影響があるかを調べた研究」で医学賞を受賞している。ちなみに授賞式は、旅費も滞在費も自己負担。スピーチの時間は60秒で、会場の笑いをとることが鉄則とされている。