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研究の壁をこえたとき

おとなりの研究者
自然科学研究機構
国立天文台 TMT推進室
名誉教授

独立行政法人理化学研究所 基幹研究所
戎崎計算宇宙物理研究室
主任研究員

旧所属 大学共同利用機関法人自然科学研究機構国立天文台 天文情報公開センター
助手

旧所属 東京学芸大学 教育学部 広域自然科学講座
教授

若いうちにやっておいた方がいいことは何かありますか。

物理学の進め方に4畳半物理とセールスマン物理という二種類があります。4畳半物理は4畳半に閉じこもり、ひたすら1つのことばかりに集中するということで、それに対してセールスマン物理というのは、鞄の中に色々な物を詰め込んでお客さんの家の戸を叩いて、奥様にはこれをどうでしょうか、息子さんにはこれはどうでしょうかと色々な物を状況に応じて使い分けるということです。どちらがいいとは限りませんが、自分はどちらのタイプかを早く見極めることが大事です。僕は色々なところに口を出したがるところがあるから、専門とは別の分野を勉強してみるということもあるし、いつも複数のことを考えるようにしています。ただ、どちらにも優れた人が絶対にいます。僕が大学生の頃は、自分ではなかなか認めたくないんだけれど、周りの友達がすごくできるように見えたんです。それで自分は才能ないなぁと思って、これで研究者になれるのかとずいぶん悩みました。一方、文学を読んだり歴史を読んだり、それから奈良のお寺をぐるぐる回ったり、一人でいろいろ寄り道して楽しんでもいましたね。でも大学院に入ってからは、自分が進む方向をきっちりと見定めて粘り強くやるしかないと思いました。今まで色々なことを言われたり怒られたりしたことはあったけれど、そこでへこたれずに「もう一回やり直すか」という気を持ってこれまでやってきました。

もう一つのアドバイスは自分のためだけの時間を確保することです。今の学生は情報を多く取り入れすぎだと思います。携帯やインターネットのようなさまざまな手段があるから、寂しいとどれかに繋がりたいと思うのでしょうね。その結びつきが楽しいのかもしれないけれど、次第にその結びつきばかり追いかけるようになってしまいます。本当に自分のやりたいことは何だろうと考えることが少なくなっていくのです。だから、ある程度周りの状況と遮断した自分の時間を確保することが必要だと思います。そうすることは自分の内部に自分らしさとか、自分独自の世界をいかに作るかということなんです。自分の存在というのを確立していく一歩は自分を見つめること、周りに影響されずに厳しく自分を見つめることです。自分を見つめるためには、本を読んで他の世界を知ることや自分で何かを書いてみるということを勧めます。手段としては絵でも音楽でも文章でもよくて、つまりは自分を表現してみるということです。それによって、やっぱり自分は自分独自の世界で生きているんだということを実感することができるのです。

文:春原 葵(慶應義塾大学2年)

池内 了理事(総合研究大学院大学)プロフィール
1944年兵庫県姫路市生まれ。京都大学大学院理学研究科博士課程修了。理学博士。 国立天文台、大阪大学理学部、名古屋大学大学院理学研究科、早稲田大学国際教養学部教授を経て、 現在、総合研究大学院大学教授、理事。専門は宇宙物理学。科学・技術・社会論に関する執筆で、数々の出版賞を受賞。『お父さんが話してくれた宇宙の歴史』 『科学の考え方・学び方』 他、著作多数。