最近、デジタルカメラで画面の中にある人の顔を認識する機能を持ったものがありますが、この「顔認識」も、コンピュータビジョンの物体認識の応用技術です。いろいろな画像の中から顔というクラスを認識するものですが、ではなぜ顔がこんなにうまくいったのかというと、人の顔には、それほどはバリエーションがないからです。
人の顔は、その輪郭にしても、目、鼻、口、耳などのパーツの種類、パーツそれぞれの数、形状、相対的な位置関係などについても、極端に違う例というのはあまりありません。顔というのはやはり、生物学的にある範囲内に限定されていることから、このように似た特徴を持っているのだと考えることもできます。
もう一つには、顔の画像データは現在、インターネットなどを利用することでたいへん集めやすい環境にあります。そこでこれを大量に集めて、統計的に解析することができ、この点も開発に大いに貢献したと言えるでしょう。
顔認識だけでなく、歩行者認識もうまくいっている例のひとつです。歩行者の輪郭をたどると、そのシルエットもやはり、ある程度のバリエーションの範囲内に収まることがわかっています。