日本で「科学技術政策」と呼ばれているものを、アメリカでどう呼んでいるかというと「Science, Technology, Engineering, and Mathematics」という言い方をするんです。そう、数学を独立に扱っているんですね。
ところがそれだけではないんです。商務省、内務省、国務省、そして軍事では、陸海空軍のすべてに「Math（数学）」と名のつく部署がある。すると数学の将来について責任感を持っている人が、ワシントンDCに少なくとも10人はいるということになってきます。一方日本の中央官庁には、数学という名前のついた課はありません。
これを放置しておくのはまずいのではないか──『忘れられた科学 - 数学』という動向分析レポートの取り組みには、諸学問の根底にある数学に少し光を当てなければいけない、という認識もあったわけなんですね。
