「Instant Inkjet Circuits」を使ったワークショップを、日本科学未来館や渋谷にあるイベントスペースなど、さまざまな会場で開催してきました。たとえば渋谷では、印刷した場合と同じように描いただけで回路になるインクが入ったペン、専用紙、LED3個のキットを使って、自分の大切な人へのメッセージカードを作ってください、というテーマで行いました。
たまたま出張で東京に来たついでに参加したという男性が、子供にスカイツリーと東京タワーを同時に見たことを自慢したいと作ったカードは、東京の風景に2つのタワーが建ち、てっぺんに星のようにLEDが光っている、というもの。また、両親がいま外国に住んでいるという女性は、両親が見ているであろう星空を、LEDを使った星座でうまく表現してくれました。
ちなみに、紙の代わりにプラスチックを使っても、同じくらいのコストでできるだろうとは思うんです。けれども人間は紙が大好きだし、紙というだけで、やっぱりみなさん目が輝きます。アンテナなどの精度の高い回路も作れる技術なのですが、まさにアイデア次第なので、こんなふうに使ってもらえるのも本当にうれしいですね。
紙を使った回路というコンセプトでは、この他、MITとの共同研究で、立体のセンサーにも取り組んでいます。2次元の印刷紙をハサミで切って、サッカーボールのような多面の立体に組み立てます。これによって、すべての面にセンサーを備えた立体的な三次元のセンサーが折り紙の要領で安く作れるわけですね。