訪ねた日の授業は、月例報告会に当たっていた。学生たちは、スーツに身を包み、緊張した面持ちで発表に臨む。だが、教員やマイスターの指摘は厳しい。「現状分析が不十分。すべきことの優先順位をつけて、クライアントと協議を」「最終的に何を目指し、そのためにどんな技術を用いるのか道筋をはっきり」などだ。「この設計で本当に水の流れは起こるのか?」「費用対効果はどのように算出しているのか?」といった質問にも答えられなければならない。
社会の動きに常に敏感であることも重要だ。観光ガイドと災害情報を合わせたスマートフォン向けアプリを開発しているチームには、その1カ月前に発生した熊本地震を例に、「今回の地震に照らし合わせてアプリのシステムを検討したか?」といった質問も出る。プロジェクト・マネージメントについても、スケジュール管理がおおざっぱすぎるなど、「学生だからここまで」といった姿勢は一切見られない。教員、マイスターが一丸となって学生を鍛えている姿勢が伝わってくる報告会であった。