学術データベースを支えるオープンなウェブの技術というのは、もちろん、私の発明というわけでは決してありません(笑)。そうではなくて、技術というものは、出来てしまえば、その使用を防ぐことは絶対にできない。研究者のデータを誰かが集めたとしたら、簡単に想像できるのは、たとえば研究者をなんらかの指標を使ってランキングして検索結果のようなリストを表示するようなサービスですね。あるいはコンサルティング料を集めて、目的に合った研究者を抽出するといったサービスを提供する会社がもっと出てくるかもしれません。しかし研究者はいま、そういうさまざまな環境から守られ得る状況にはありません。そうではなくて、技術がもう存在するのであれば、それを研究者のために使わなければいけない。そこのところは学問の自治ということと、研究のステークホルダーである国民から求められる公開性というものの、バランスをとっていかなければならないと考えています。
そこでまず私は研究者として、自分たちの研究活動を活性化できるような、インターフェースを組もうと考えました。そして他の研究者がそのデータを使って、さまざまな研究や開発に取り組めるようにしよう。研究者が自分たち自身の手でもって、学問の自治を守らなければいけない──そのような強い使命感を持って、researchmapに取り組んでいます。