file 01:アクティブマトリックスとは?

ヒトの皮膚は表面積にして約2平方メートルあり、そこに約200万の痛点が点在しています。ちなみに高精細テレビの画素数が2K、将来的には4K、8Kが主流になると言われていますが、これでいうとちょうど2K(ハイビジョン)にあたる数の痛点が、約2平方メートルに広がっているということもできるのです。



ロボットにセンサーをつけようという時、一般的には指先に1個ずつ圧力センサーなどを実装して、そこから配線を伸ばしていこうと考えます。指先に各1個ずつ全部で10個という程度の数ならば、1個ずつ実装しても構いませんが、当然のことながらセンサーのない部分では何も感知できないわけですね。そこで皮膚全面に付けようとすると、身体は複雑な形状をしており、曲面も多いので、センサーが硬い場合にはどうやってつけるのかがまず問題になります。しかも200万個もどうやってつけるのか、その200万本もの配線をどうするのか、と考えるとますます現実的ではなくなってきます。

そこで私たちは、トランジスタを格子状に並べ、プラスチックフィルム面をネットワークのように使って電子回路がつくれる技術を用いることにしました。これが「アクティブマトリックス方式」で、実際に液晶ディスプレイなどにも採用されていて、1個の発光素子に1個以上のトランジスタが配されていることによって、アクセスしたいところへ自由につながることができます。この方式によって、2Kなら200万個すべての発光部分に配線をつけなければいけないと思われるところを、20〜30本のシリコンチップをつけるだけで駆動することができるんですね。