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おとなりの研究者
高エネルギー加速器研究機構
物質構造科学研究所
教授

特定国立研究開発法人理化学研究所
放射光科学研究センター 利用システム開発研究部門
部門長

公益財団法人高輝度光科学研究センター
タンパク質結晶解析推進室
主幹研究員

独立行政法人理化学研究所
播磨研究所 研究室 三木生物超分子結晶学研究室
研究員

公益財団法人高輝度光科学研究センター
タンパク質結晶解析推進室
室長 主席研究員

file 01:分子構造解析の40年

マンガンカルシウムクラスターの電子の状態を理解することはとても重要なため、この部分は量子化学で計算しています。ところがPSⅡは分子が大きいのに加えて、量子化学の計算は、量子力学によって電子がどう振る舞うかを原理的に決めることはできるのですが、膨大な計算量になります。もちろん全体を扱うことはできないので、PSⅡの周りのどこまでを量子化学計算に含めることができるかということが問題になります。そこで通常は、まずターゲットとなる部分を決めてそこを量子化学ベースで計算し、取り巻く部分はやや精度の低い計算をして全体の描像を得るという作業が行われています。

化学反応をシミュレーションするには、時間を追って関連する分子の電子状態をシミュレートしていかなければなりません。ここで取り扱うひとつのプロセスはだいたいフェムト秒のオーダーです。仮に時間間隔を1ピコ秒にするとしても、1つの反応が進むのに1マイクロ秒かかるとすると、100万個の計算をしなければいけないことになります。しかし、計算科学の長足の進歩によって、それがいよいよ可能になろうとしています。

振り返ると、私は学生時代、理学部に入学して、4年生の時に固体化学という名前の研究室に配属になりました。有名な量子化学の研究室だったのですが、タンパク質の結晶構造解析をやっている人が傍にいて、私はそれを研究したいと思いました。しかし当時私が使うことができたのは、大きな大学にひとつ設置されているかどうかの「大型計算機」でした。これは当時は最先端でも、現在のラップトップPCよりもはるかに性能の劣るものでした。それから40年が経ち、やっと自分が配属になった研究室が目指していた量子化学の研究を巨大なタンパク質に適用できる状況になった、そんな感慨を持っています。