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おとなりの研究者
東京大学大学院
人文社会系研究科死生学・応用倫理センター
教授

東京大学
大学院情報学環
教授

星槎大学
共生科学部・大学院教育学研究科
副学長・共生科学部長・教授

旧所属 帝京平成大学(THU) 情報学部 経営情報学科
教授,名誉教授

大阪大学
COデザインセンター
教授

file 02:科学と社会の「メディエータ」

現在たいへん数多くいる理学の専門家達、その人たちすべてに科学と社会の問題を考えさせるということは、私はたぶん無理だと思うんです。その意味で、科学研究の現場にはいなくて、外からそういった問題について考えるべき人というのが、現代社会にはどうしても必要だと思います。

実際、私の世代以降に、たとえば大学院で私の学生だった人たちが、科学史の専門的な研究から離れて、自分は科学と社会をつなぐ役割に徹しよう、そこへ自分の能力を注ぎ込もうという人たちが現れてきたと思うんです。この科学技術と社会をつなごうという考え方を「STS(science technology and society)」と言いますけれども、このような動きは60年代ぐらいから兆しが現れ、ここへきて国際的にもかなり重要な役割であると認められてきています。

たとえば国立天文台の渡部潤一さんはもともと太陽系天文学が専門の優れた研究者だったのですが、すばるのプロジェクトが進んでいく段階で、巨費が投じられたこのプロジェクトの成果を社会へ還元すべきだという問題意識から、プレゼンターの役割へ転じられた方なんですね。2006年に冥王星が惑星から外れた時も、彼はさまざまな場所で見事に解説してくれました。このようなかたちで彼は見事に役割を果たしているし、こういった機会は今後ますます増えると思います。

大学においても、2005年から5ヵ年にわたり東京大学、早稲田大学、北海道大学という三つの拠点で、文科省の科学技術振興調整費による人材養成プログラムが行われました。中でも東大の「科学技術インタープリター養成プログラム」は、主に理学・工学・医学系の修士の学生を対象に、大学院内大学院のようなかたちで、将来研究者になろうという人を含め、研究成果と社会を橋渡しする役割を担おうという人材を募り、研究者に代わって研究内容をプレゼンテーションできる能力や、逆に一般の人々がわからない点をつきとめるといったことを通じて、社会と科学を隔てる壁を切り崩していくような素質を養成しようという試みでした。このような役割は、私はメディエータという言葉を使うのが一番いいと思っているんですけれども、特に専門的な知識の中だけで解決できないような問題、あるいは安全が問題になる場合等に、より必要とされる役割だろうと思います。

私たちの21世紀、ちょうど19世紀に科学者が姿を現したのと同じように、そういうメディエータの役割を担う人たちが少しずつ社会の中に現れてきていることは確かだと思っています。