つながるコンテンツ

智のフィールドを拓く トビタつための星 可能性を照らす道 未来を探るひきだし 明日へとつなぐ鍵 変化をひらくドア 研究の壁をこえたとき Moyapedia
おとなりの研究者
独立行政法人国立長寿医療研究センター
長寿医療工学研究部
流動研究員

自然科学研究機構 生理学研究所
大脳皮質機能研究系 心理生理学研究部門
准教授

独立行政法人国立精神・神経医療研究センター(NCNP)
部長

京都大学
大学院医学研究科 附属高次脳機能総合研究センター
特定准教授

明治国際医療大学
医療情報学
教授

file 02:神経繊維を追跡するイメージング

fMRIでは神経細胞の働き(灰白質)の情報を主に見ていますが、近年、脳の中の神経繊維(白質)がどのように働いているかを画像化する方法が発展してきました。それは神経細胞から伸びてくる神経繊維そのものを撮影しているわけではないのですが、その中にある水のブラウン運動の程度と方向を捉えて、その動きの特徴を画像化する方法です。水の運動の動きを捉えるには、だいたい10分ぐらいかけて、30〜64回程度の撮影を行います。1回ごとに水の運動の向きを順番に変えて撮影して、どの方向の水の動きが一番強いかを計算します。このような方法が発達してきて、脳のネットワークというものがいろいろな情報を組み合わせて推定できるようになってきました。

この神経繊維のイメージングによって、脳内の領域のどの部分とどの部分が強く協力し合っているか─言い換えると「神経組織というプレーヤーによるスクラムの組み方」といったもの─が、状況に応じて変わってゆく様子が、徐々に明らかになってきています。たとえば統合失調症で薬物療法を行った時に、改善が見られない患者さんには、このスクラムの組み方と神経繊維の機能との間にあまり相関がなく、薬物治療で症状が安定してくると徐々に相関してくることが知られて来ました。このような治療による生理的な変化をどう解釈すべきかはまだまだ分かりませんが、これまでなぜそのような症状が出るのかよくわからなかった病気について、着目すべき部分が把握できるようになって来ています。

このような新しい画像化の手法が出てきたからといって、決して古い方法に意味がなくなるわけではありません。たとえば脳波は80年あまり前に発見されましたが、その解析で培われたものがfMRIに応用されており、一方で最近の脳波の進歩にはfMRIの影響を受けている面もあります。新しいものが古いものを進化させ、相補的な関係になる方向で進むのは、一見、古いと思われているものにも、まだまだ気がつかれていない本質が備わっているからではないでしょうか。