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おとなりの研究者
京都大学
高等研究院
特定拠点講師

京都大学
再生医科学研究所 附属幹細胞医学研究センター
文部科学教官助教授

京都大学
iPS細胞研究所
所長/教授

国立研究開発法人理化学研究所
バイオリソース研究センター
チームリーダー

file 03:「万能」細胞と科学者

分化多能性を持つiPS細胞は、理論上は、体を構成するどの細胞にも分化誘導することが可能です。ではたとえば何がつくれるのかというと、まず神経細胞などが思い浮かびますが、最近では実際に臓器のかたちをしたミニ肝臓ができたという成果も発表されています。肝臓という臓器はいろいろな細胞が集合して構成されていますが、iPS細胞からつくられたその肝臓も、立体の構造物で、肝臓としての機能を備えているそうです。

このような例を聞くと、条件さえ整えば、細胞は臓器作製へ向けて進行するのかもしれないと思われます。どの程度複雑な高次構造までつくれるかはわかりませんが、肝臓機能を有するものが作製でき、安全性も確認できるのならば、それで十分役に立つと考えることもできます。

iPS細胞にはいろいろな可能性があるため、他にもたとえば、絶滅動物の再生や絶滅危惧種の維持に利用できないかといったアイデアも見かけます。たとえばマンモスなどの血液などが、もし残っていれば、そういったものからiPS細胞を作ってみようというわけです。

卵子を破壊しなければ作ることができないES細胞に対して、iPS細胞はふつうの体細胞から樹立できるため、生命の誕生に関わる倫理的問題がないとされてきました。けれども、どの細胞も誘導できるということは、生殖を模倣できる可能性があるということでもあります。iPS細胞をどのように使っていくのか、という課題は、科学者がどこまで自己抑制するかという問題も孕んでいる。そこはよくよく心して、研究に取り組むべきと思います。