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おとなりの研究者
京都府立医科大学
教養部生物学教室・大学院神経発生生物学
准教授

東北大学
大学院医学系研究科・医学部 附属創生応用医学研究センター 脳神経科学コアセンター 発生発達神経科学分野
准教授

国立研究開発法人理化学研究所
研究員

自治医科大学
大学院医学研究科
准教授

カロリンスカ研究所
細胞分子生物学部門
研究員

file 01:遺伝子にはみんな名前がある

遺伝子というのは、ヒトの場合30億塩基対あるゲノムのうちの、特徴ある一続きの配列のことで、現在約2,200個あると推定されています。昔は先にタンパク質が見つかって、そのような機能が発現した元々の遺伝子はどんなものだろうか、というふうに調べられていたんですけれども、今はむしろ30億塩基対のここはATGC(アデニン、グアニン、シトシン、チミン)の並び方から見てどうも遺伝子らしい、とわかる部分があります。でも全部解明されているわけではないので「およそ」の数になるんですね。

遺伝子そのものは遺伝情報に過ぎず 、タンパク質という実行部隊になって初めて働くことができます。その時に、遺伝子がどう使われるのか、あるいはいつ、どこで使うのか、といったあたりが、環境によっても変わるということが重要です。もちろんお母さんのお腹の中にいる間は、温度も36.7度ぐらいで水分・栄養分も与えられるなど、かなり一定の環境下にあるため、持って生まれた遺伝的なプログラム自体がすごく大きく関わっています。でも、生まれてからは人それぞれの環境・生活習慣に、どんどんバリエーションが出てきますよね。自分のゲノムは一つの、既に決まったものですけれども、その情報がどのようにデコードされていくかは、環境が大きく関わります。弱い部分がリカバーされたり、逆にせっかくいいものを持っていたかもしれないのに抑圧されてしまったり、それぞれの人たちがどう自分の人生を作るか、どう時間を使うかというところが遺伝子・ゲノムの働き方に関わっているんですね。

ところで遺伝子には、みんな個人名がつけられていて、研究者にとっては、実は人の名前と同じようにとっても大事な固有名詞なんです。自分で新たに機能を見つけたようなものには自分で名前をつけることができて─なんでもいいんですけれども─結構おもしろい名前が多いんです。たとえばショウジョウバエの遺伝子は、その遺伝子が壊れているとどんなハエになるかという意味でつけられている。たとえば粂和彦先生(名古屋市立大学 教授)がつけた名前が「フミン」。寝ないハエなんですよ。ハエも睡眠サイクルがあって眠るんですけど、そのハエはぜんぜん寝ない(笑)。このように命名する場合もありますし、モデル生物によって、たとえば線虫や酵母菌などはつけ方が決まっていて、アルファベット3、4文字プラス数字であるとか、いろいろあります。

ちなみに私が研究している「Pax6」という遺伝子は、脳の発生時に重要な働きを持ち、神経路形成に関わるもので─私が命名したのではないのですが─「PAired boX」の短縮形で、そのような仲間の遺伝子のうち6番目にあたることから名づけられています。