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おとなりの研究者
京都府立医科大学
教養部生物学教室・大学院神経発生生物学
准教授

東北大学
大学院医学系研究科・医学部 附属創生応用医学研究センター 脳神経科学コアセンター 発生発達神経科学分野
准教授

国立研究開発法人理化学研究所
研究員

自治医科大学
大学院医学研究科
准教授

カロリンスカ研究所
細胞分子生物学部門
研究員

file 03:「無意識のバイアス」

シェリル・サンドバーグさんという方のTEDでの講演『LEAN IN 女性、仕事、リーダーへの意欲』という本になり、話題を呼んでいます。議論の元になる科学的なデータは、私たちが翻訳した『なぜ理系に進む女性は少ないのか?』と重なる部分も多かったので、興味深く読みました。

彼女が提起する「なぜ女性のリーダーが少ないのか?」という問題は、私の「なぜ理系の女性が少ないのか?」と読み替えることができ、根っこの部分で共通する点がたくさんあります。そして「無意識バイアス」や「劣勢のスティグマ」という言い方に典型的なんですけれども、女性であることで、無意識にマイナスに評価されてしまうということが実際によくあるんだ、という例がいくつか挙げられています。

たとえば女性は一般論として数学ができない、というバイアスがかかる例─学生が数学の試験の答案用紙の最初に学籍番号に加えて氏名を書かせると、女性名の答案のほうがスコアが悪くなり、また氏名に加えて女性/男性というチェック欄を設けると、女性のスコアがさらに悪くなったというもの。これはぜひ日本でも調査して欲しいし、もし本当にそういうことがあるのだとしたら、数学のテストをするときにはこれからは名前を書かずに学籍番号だけにすれば、バイアスが少なくなるかもしれないですね。あるいは、同じキャリアの人物が男性である場合(例:ハワードさん)と、女性である場合(例:ハウディさん)に対して、人がどう判断するかという実験では、回答者は男性も女性も、女性に対しては「業績はいいんだけどね……」といった、ネガティブなバイアスがかかる─といったことがいろいろと書かれています。

気づきというのは、変化のための第一歩ではないかと思います。私も男女共同参画テーマの講演するときによく話しているのですが、教壇に立った先生が「女性は成績優秀なんだけれどもね」と、あるいは企業の人事の方が「入試試験の点数は女子のほうがいいんだけどね」と言われる……と、その後には「だけどちょっと実社会ではね」とか、「あの、がんばりがね」とか、そういったネガティブなものが来るでしょう? ということなんです。これが「バイアス」で、そのような発言は「私は女性の能力をちゃんと活用することができない」と言っているのと同じになりますよ、と。

こういった問題はリケジョだけのものではありませんが、マイノリティという意味では女性リーダーもリケジョさんも同じ立場なんですね。そのようなリケジョさんたちに特に言いたいのは、好きなことを長く続けようよって。もちろんそのためには努力も必要だと思いますけれども、自分が好きだと思ったことをしっかり長く続けようね、というメッセージをいつも伝えていますね。

シェリル・サンドバーグ (著), 川本 裕子 (その他), 村井 章子 (翻訳)
日本経済新聞出版社   2013年6月   ISBN-13: 978-4532318970

スティーブン・J. セシ (著), ウェンディ・M. ウィリアムス (著), 大隅 典子 (翻訳)
西村書店   2013年6月   ISBN-13: 978-4890136896