file 02:第3、第4の食物革命

食物革命の3つ目は、普段は食べられない食物を調理によって食べられるようにする道具や智恵の革命ですね。人間が最初に火を使った証拠は、160万年前ぐらいに出てきます。そして実際にを日常的に使い始めるのが、80万年ぐらい前です。たとえばデンプンは生のままでは食べられないわけですが、火を加えれば、食べられるものに変わる。それから生肉も非常に繊維が丈夫で、人間の歯ではとても噛み切れないことが多いわけですね。でも火にかければ、ちぎれるようになります。あるいは火を使わなくても、叩いてちぎる方法もある。このようにして調理によって食べられなかったものを可食化し、人間は、食物のレパートリーを増やしていった。それによってさほど広範囲に食物を求めて出歩かなくても済むようになり、実際に集団を大きくすることができたんだと思うんです。

そして第4回目の、つまり最後の食物革命は、食物を自前で生産することです。家畜化と農耕がほぼ同時期に起こってきます。特に家畜を導入したことによる大きなメリットのひとつは、離乳食が手に入りやすくなったことですね。しかも肉も手に入るのだから、一挙両得です。これらの段階を経て、人類は飛躍的に数を伸ばしていったのだと考えられています。