つながるコンテンツ

智のフィールドを拓く トビタつための星 可能性を照らす道 未来を探るひきだし 明日へとつなぐ鍵 変化をひらくドア 研究の壁をこえたとき Moyapedia
おとなりの研究者
東邦大学
理学部 生物学科
講師

武蔵大学
人文学部 基礎教育センター
教授

中部学院大学
看護リハビリテーション学部理学療法学科
教授

椙山女学園大学
人間関係学部 心理学科
教授

file 03:甘〜いフルーツを分け合える?

ゴリラもチンパンジーも甘いフルーツが大好きです。しかもフルーツは葉っぱと違っていつでも手に入るものではないので、非常に競合が高いんですね。ゴリラはそういったものは分配しないだろうと考えられてきました。ところがつい最近、ゴリラが大人同士で分配をするということがわかったんです。

これまで大人同士で分配をする種は、大人から子どもへ分配する種でもあることがわかっており、たとえばチンパンジーやオランウータンがそうでした。しかし大人から子どもへ分配する種で、大人同士が分配しない種があり、類人猿のなかでゴリラがそれに当たる種だろうと目されていました。

ところが、今までよく研究されていたマウンテンゴリラの生息する地域は、そもそもフルーツが少ない。またフルーツがそこらじゅうになっていたのでは分配する必要がないし、一人で食べ終わってしまうサイズであっても分配できません。そこで大きな果実の多いガボンの低地熱帯雨林を選び、やっと観察に成功しました。

しかも面白いことにゴリラとチンパンジーでは、分配の方法がまったく違うんですね。チンパンジーは口や手から直接食物を取り、ゴリラはいったん地面に置いて相手に取らせます。ゴリラの社会では優劣関係をつけずにお互い対等な立場で付き合うことを社会の基本にしており、一方のチンパンジーは、相手との上下関係をあえて前面に出して、それをいろんな形で利用する。それぞれの社会の特性が、分配行動にもきちんと出ていました。

今回の発見で、まずは大人から子どもへ分配し、理由は異なるかもしれないにせよ、その行動が大人同士の間に広がっていくというプロセスが、ゴリラでも見つかったということになります。人間の「食物革命」でも見てきたように、食べ物を通じて社会って作っていくというプロセスの中で、食物分配は非常に重要なポイントです。ゴリラたちが食べ物を探したり、取ったり、分けたりするそれぞれの段階で、どんなコミュニケーションが介在していくのか、非常に興味深いところですね。