ところが、ではこのコノドント、いったいどんな生物だったのか?……というと、実は専門の研究者の間でもまだ結論が出ていません。1856年に初めてロシアの生物学者、クリスティアン・パンダー(Heinz Christian Pander, 1794-1865)が発見・発表して、歯という意味合いで「コノドント(Conodont)」と命名して以来、約100年もの間、この化石は正体不明のまま研究が続けられてきました。現在でも大筋では「歯のようなものだろう」という合意があるものの、反対している専門家もいますし、口のあたりの硬組織であることは確かなのですが、歯なのか、触角のようなものを支持する器官だったのか、となるとやはり意見が分かれます。また脊椎動物だったのではないかと考えられており、脊椎動物の進化に関わるとなると人類まで連なるテーマになるわけですが、ところが脊椎の化石そのものは、まだ誰も見たことがないのです……。