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おとなりの研究者
山梨大学
大学院 総合研究部 生命環境学域生命農学系(発生工学研究センター)
助教

東京大学医科学研究所
幹細胞治療部門
特任准教授

独立行政法人理化学研究所
筑波研究所 バイオリソースセンター 遺伝工学基盤技術室
室長

特定国立研究開発法人理化学研究所
バイオリソースセンター 遺伝工学基盤技術室
専任研究員

東京農工大学
農学研究院 動物生命科学部門

file 02:生命は情報である

細胞が生きているか死んでいるかの定義って何でしょうか? 中学・高校の教科書では、細胞膜がちゃんと細胞を包んでいれば生きているし、破れていたら死んでいるというのが定義になっています。冷凍した肉や魚を解凍すると水が出てくるのは、細胞膜が破れて細胞が死んでいるからだと説明できるわけです。

これと同じように、マウスの凍結死体から取り出した凍った細胞の細胞膜も、やはり壊れています。ところがマウスの凍結死体から核移植することでマウスの個体、つまりクローンを発生させることができます。すると、細胞として死んでいても、DNAが壊れていなければ生き返るということがわかったわけですね。

DNAというのは生き物ではなくて、情報であり、単なる化学物質です。しかしその単なる化学物質が、また元の生物に戻る。現時点では、DNAに書き込まれた情報が壊れていなければそれは生命になり得るんだと言えますね。すると生命とは化学物質で、それは情報である。これはクローンが生まれて初めて証明できたことです。

そもそも哺乳類のクローンというのは、元来、生物学の常識にはないことなんです。ところが、このクローンという自然にはあり得ない現象によって初めて、生物の本質を調べることが可能になってきています。たとえば近年、遺伝子発現に関して大きなテーマになっている「インプリンティング遺伝子」では、クローンを解析することを通じて、自然の本来の流れのなかで遺伝子がどう変化するかを解析できるようになってきました。特に基礎生物学の研究においては、クローンがユニークな解析手段になって、これまでの考えを少しずつ変え始めているのです。