file 01:水中ロボ「ROV」出動!

東日本大震災では、津波による被災に関連して、Robin Murphy教授(テキサスA&M大学)、松野文俊教授(京都大学),木村哲也准教授(長岡技術科学大学)との共同研究で、宮城県南三陸町・亘理町、岩手県陸前高田市の沿岸の海底を、探索する活動を行いました。海底には、津波が海に戻る時の「引き波」によって、倒壊した建物や船舶などの瓦礫が大量に押し戻され、体積しており、人が潜水すると大変危険な状態にあります。そこで、ROV(遠隔操縦潜水ロボット)と呼ばれる水中ロボットを使って、海底を探査しようというものです。

ロボットは、音波で水中の物体を探知するソナー(SONAR, Sound navigation and ranging)とハイビジョンカメラを使って海底の状況を次々と捜査していきます。ボート上では人が待機して、ロボットから次々と送られてくる映像データ等を見ながら、ご遺体を捜索していきます。もしもご遺体が見つかったら、ポイントを地図上にマップし、目印のブイを設置します。この後、ダイバーの方が実際に潜って、ご遺体であった場合は引き上げます。通常は2人のダイバーで作業するのですが、今回の場合、極めて危険性が高いため、3人以上のチームで行っていました。

ちなみに共同研究者のRobin Murphy教授は、アメリカ同時多発テロ事件の時に、崩壊したワールドトレードセンタービルの中にロボットを持って入っています。人命の救助に役立った事例ではないのですが、このような事故の原因調査や状況調査には、世界じゅうでいろいろな取り組みが行われ、ロボットが役立っています。

[ 参考リンク ]
●特定非営利活動法人 国際レスキューシステム研究機構(IRS)ホームページ
- http://www.rescuesystem.org/

●CRASAR - Center for Robot-Assisted Search and Rescure at Texas A&M University
- http://crasar.org/