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おとなりの研究者
東北大学
大学院情報科学研究科 応用情報科学専攻 応用情報技術論講座 人間-ロボット情報学分野
教授

東北大学
大学院情報科学研究科 応用情報科学専攻 応用情報技術論講座 人間-ロボット情報学分野
准教授

国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
楢葉遠隔技術開発センター 遠隔基盤開発室
室長

筑波大学
システム情報系
准教授

愛知工業大学
工学部
教授

file 01:ケルン市歴史文書館倒壊現場にて

2009年、ドイツケルン市歴史文書館が倒壊した事故があり、そこで私たちの「能動スコープカメラ」を使って救助ができないか、という要請がありました。「能動スコープカメラ」というのは、直径2.5センチぐらいのチューブ状で、先端にカメラが取り付けられており、崩壊した建物の隙間などでも3センチぐらいの幅があれば這って進んでいけるロボットです。チューブに巻き付けられた繊毛を振動させ、床面との間に生じる反発力によって前進し、最長約8mまで進むことができます。

その公文書の崩壊した煉瓦の山の中に、行方の分からない方がいる。その方たちを捜索して助け出すというミッションでした。行方不明者は、連絡を受けた時点で5、6名であるとのこと。その後ロボットを持って成田から飛行機に乗る時点で3名、降りた時には2名との連絡が入りました。現地に到着したのは、およそ48時間後。しかし、レスキューの通常の感覚からすると、2日というのはもう遅いんですね。72時間を経過すると、ほとんど生存確率はないと判断し、そこで救助を打ち切るのがふつうです。

その現場は、私には非常に勉強になったのですが、ひとつには、足場のもろい状態で大量の崩壊煉瓦が堆積しており、捜索作業そのものが非常に危険性が高いんですね。瓦礫の山の内部にロボットを入れるにしても、高さ30メートルの頂へまず上らなければならない。そこでレスキュー部隊のリーダーが「GO」を出したらすぐ使えるようにと、ロボットを準備して、2晩ぐらいずっとスタンバイしていました。

しかし刻一刻と生存確率が減っていき、隊員の方にも大きな危険があるということで、結局は断念することになりました。その後、さらに1週間ぐらい経って私が日本へ戻ってから、ご遺体が見つかったということでした。

この体験からもわかるように、72時間以内には当然現場に到着していなければいけないといったスピード感は、研究者にはとても対応できません。つまり、消防警察などレスキューを専門とする方々が、自分たちの道具としてロボットを持っている必要があります。本当に役立つようにするにはどうしたらいいのか、課題の広さを改めて感じました。