海はある意味でいろんな元素の貯蔵庫でもあって、地球科学、地質学といった分野にとっては、昔からごく基本的な研究対象なんですね。海の泥を化学分析すれば、ある程度レアアースが含まれていることはわかる。分析値としてはいくつか発表されていたけれども、資源にできるということには、世界の誰も気づいていなかったんですね。 海底で採取した泥は、酸を用いて溶液にし、十分に薄めてからICP-MS (誘導結合プラズマ質量分析計)という測定機器に通して分析します。この分析機器は、溶液中に含まれるさまざまな元素をプラズマを用いてイオン化し、どんな元素がどのくらい含まれるかを一瞬のうちに測定することができます。 ところで過去の海で溜まった泥が、堆積岩というカチカチの岩石になって、現在は陸上にあるというケースもたくさんあるんです。海底の泥を載せたプレートが陸にぶつかると、「付加体」と言って、次々にくっついて陸を形成していきます。西オーストラリアのピルバラというところへ──どういうところかというと、南半球が一番寒い9月頃でも日中気温が45度ぐらいまで上がるという、灼熱地獄なんですが(笑)──地質調査に行くと、35億年前というとてつもなく古い時代の海を知ることができるんですね。元々は海でできた地層なんだけれども、そのようにして陸に上がって固い岩石になったものを、ここは35億年前、ここは27億年前というように集めて、46億年の歴史をつないでいく。わかってきたのはまだその歴史の10%にも満たないんですが、地球の海がどうやって進化してきたのか、その中でどのように資源ができてきたのかを明らかにしていきたいと考えています。 [ 参考リンク ] ●深海掘削計画(DSDP:Deep Sea Drilling Project)/国際深海掘削計画(ODP:Ocean Drilling Program) http://www.odplegacy.org/ ●統合国際深海掘削計画(IODP:Integrated Ocean Drilling Program)http://www.iodp.org/
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interview 加藤泰浩准教授インタビュー