つながるコンテンツ

智のフィールドを拓く トビタつための星 可能性を照らす道 未来を探るひきだし 明日へとつなぐ鍵 変化をひらくドア 研究の壁をこえたとき Moyapedia
おとなりの研究者
成城大学
文芸学部 マスコミュニケーション学科
教授

立教大学
立教学院史資料センター
助教

名古屋大学
人文学研究科
准教授

静岡大学
人文社会科学部 - 言語文化学科
教授

日本大学
文理学部史学科
教授

file 02:ベトナムの鉄道体験

先週は、ベトナムへ行っていました。大学を3つぐらい回って、2011年10月に出版した『震災と鉄道』という本の最終章だけを翻訳していただき、講演してきたんです。今回非常に強く感じたのは、鉄道の持っている役割が、日本とベトナムではぜんぜん違うということ。本の内容を理解してもらうには、日本の鉄道についてある程度知ったうえでないと、なかなか難しいということがよくわかりました。

ベトナムの場合、植民地時代にフランスが鉄道を作っているんですね。ところがこれが現在もほとんど当時のままなんです。スピードアップしているとはいえ、たとえばハノイからホーチミンまで鉄道で行くと、29時間ぐらいかかる。だからふつうは飛行機を利用しますね。僕は少しでも鉄道に乗ろうということで、今回、フエからダナンという駅まで乗りました。

そのフエ駅のホームには、サイゴンへ何キロ、ハノイへ何キロといった、植民地時代に書かれたままの標識が掲げてある。また切符売場には、見上げると世界時計が設置されていて、パリやモスクワの現在時がわかるようになっている。これももちろんヨーロッパ人向けのものでしょう。要はフランス人が乗っていた当時と同じ駅舎だということなんです。

電化も複線化もされていないため、あれではちょっとスピードが上がらない。しかし乗ってみてわかったのは、意外にも乗客にヨーロッパ人が多いことなんです。というのは、確かに時間はかかるけれども、すごく景色のいいところを走るので、それを観るためにおそらくわざわざ乗っているんですね。このような在来線を、観光の目玉にして活用していったらいいのになあ、と思い、ベトナムの鉄道には少し癒されました(笑)。

韓国中国台湾でも、今どんどん新幹線を作っていますけれども、実は在来線の特急や急行もしっかり残してあって、時間の都合や懐具合にあわせてどちらも利用できるようになっています。日本では新幹線が開通すると同時に在来線から特急や急行をなくし、新幹線でしか移動できなくなる傾向がありますが、これは不思議なことでもあるし、世界的にみても稀なシステムだと考えています。