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おとなりの研究者
摂南大学
理工学部
教授

旧所属 名城大学 理工学部 情報工学科
教授

独立行政法人理化学研究所
和光研究所 中央研究所 川合理論物理学研究室
専任研究員

大阪府立工業高等専門学校
総合工学システム学科 一般科目文系・理系
教授

旧所属 茨城大学 理学部 理学科物理学コース
教授

file 02:アハロノフの弱値

弱値weak value)」とは、アハロノフ(Yakir Aharonov,1932-)が提案している、今まで量子力学で考えられていたような物理量の概念をもう少し拡大しようという考え方です。

アハロノフは1950年代の末に、アハロノフ=ボーム効果という現象を思考実験で提唱したことで、物理学の分野では有名な人です。その人が60年代に提唱し始めたのが弱値で、しばらくの間ほとんど無視されていたのですが、今世紀に入っていろんな研究者が興味を持つようになって、最近特に日本で、このような新しい枠組みで物理量を研究しようという気運が盛り上がってきています。

ふつうは初期条件をもとにして定めた1つの状態のもとで物理量どうなっているかを答えるのが、標準的な量子力学の物理量の表現です。ところがアハロノフたちは、初期条件と終条件の両方を定めて、この2つの状態を使って物理量を定義しようという考えなんですね。たとえば初期状態のψという状態から終状態のφという状態へのプロセスを考え、そのなかで物理量を測れば、いろんな値が存在できる。それについて、もう少し議論を深めていこうというわけです。

また弱値の考え方では、通常の量子力学では否定されるような種類の物理量でもその値は確定している、と考えることもできるので、アインシュタインが言っていたような物理量は実在するという立場に近いと言えます。

さらに時間発展も含めて、最初の状態を決めて終状態へだんだん発展していると考えると、今度は終状態を決めて、初期状態へ向かって時間が逆に発展していると考えても問題ありません。すると時間発展も一方向ではなくて、過去へさかのぼることもできます。……そんな自由な発想が可能なんですね。