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おとなりの研究者
摂南大学
理工学部
教授

旧所属 名城大学 理工学部 情報工学科
教授

独立行政法人理化学研究所
和光研究所 中央研究所 川合理論物理学研究室
専任研究員

大阪府立工業高等専門学校
総合工学システム学科 一般科目文系・理系
教授

旧所属 茨城大学 理学部 理学科物理学コース
教授

file 03:量子的「家」の建設

たとえば建築なら、コンクリートを打って、ここに柱を立てて、というように教わって、その通りにやれば家が建つと。その時に、どのくらい穴を掘ればいいのか、なぜ柱はその太さなのか……ひとつひとつの背後に、たとえば家の高さに応じて穴の深さを変えるとか、コンクリートの量はどうだとか、いろんな理由があって、われわれはそれを理解することができます。

ところが量子力学を理解するには、要するに、何が問題かということを自分で考えなければならないんですね。1930年前後につくられた量子力学は、ある意味で、出来合いのものです。つまりいろんな材料やツールがあって、われわれはそれらを使って計算することができるし、実験でも確認できます。使ってみると、確かにすごくうまく使えるんだけれども、なぜそのようにつくられているのか、どうしてそういう概念を使うのかがわからない。いまだに基礎工事のところを、なんで掘るんだろう、なぜコンクリートの量はこれでいいんだろう……と、考えている状況です。

数学的な構成としては、量子力学は、古典力学に比べて道具立てが簡単なんです。少しこまかく言うと、古典力学の代表的な道具が「力は加速度に比例する」というニュートンの運動方程式ですが、加速度は、時間に関して2回微分して求めます。量子力学の場合、ニュートンの運動方程式に代わるのがシュレーディンガーの波動方程式ですが、これは時間に関して1回しか微分しません。2回が1回になるのは実は大違いで、すごく解きやすくなった。比喩的に言えば、これまで日本家屋のようなものをつくっていたのが、これからは組立工法でポンポンとつくることができて、しかも建築的にも丈夫で、地震にも火事にも強い、という感じでしょうか。

その一方で、なぜこうして作っているんだろうという根本的な理解が難しくなった。量子力学はわれわれの常識に合わないので、直感的に理解するのがどうしても難しいんですね。