file 01:一票の較差への違憲判決

選挙の投票価値の不平等の問題について、今までは衆議院をめぐっては違憲判決も出ていましたが、最近は参議院も平等にということを、最高裁判所が強く迫っています。「ねじれ」が起きた2010年の参議院選挙をめぐる投票価値には、5倍にも及ぶ較差があったんですね。これについて昨年、最高裁は「違憲状態」という判決を下しました。

なぜ厳しくしたのか。理由はいろいろあるんですけれども、たぶん参議院の強さということがあるだろうと私は考えています。

一票の価値が不平等だったということを前提とすると、では今の選挙制度でなかったらどうなっていたかという問題が出てきます。不平等を是正していたらねじれていなかったかもしれないとすると、やはり最高裁としても放任できない問題であり、選挙の正当性が問われることになります。どこまで較差が許されるか?─これは憲法の解釈に関する問題です。他方では、二大政党制と参議院がうまくマッチしていないという問題もある。憲法学としては、憲法を踏まえて制度を設計した場合に、選挙のあり方としてどういう方向が見えてくるのかということを考えなければいけないと思います。