file 02:『美術「心」論』のこころは?

近著の『美術「心」論』は、学生やふだん美術にあまり馴染みのない人と美術をつなぐにはどうしたらいいかということを発端としています。しかし実際には美術史的な内容など、難しく見えることも書いてある。というのは、世の中やさしいことだけではできていないから、ひとつひとつの道に進めば必ず難しいことになっていきますね。ただその場合でも、基になる考え方みたいなものだけわかっておけば対応できるんだ、というような気持ちで書いたものなんです。

絵を見るということについて、本当に客観的な真実というものは、そもそも難しい。ならばその代わりに見る主体のありかを「こころ」と置いたらどうだろうか。「こころ」すなわち、その人の見方というものをいかに持つかなのだ、ということが本を通じて伝えられればと思っています。

古田 亮 (著)
平凡社   2012年5月   ISBN-13: 978-4582206685