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おとなりの研究者
星薬科大学
先端生命科学研究センター
特任准教授

大阪大学大学院
歯学研究科
准教授

佐賀大学
医学部
教授

独立行政法人理化学研究所
和光研究所 脳科学総合研究センター 神経回路メカニズム研究グループ
シニアチームリーダー

file 02:移植医療にも貢献できる

脳に神経細胞の移植をしたらどうなるか、ということは医療の分野でいろいろ研究されていますが、僕らは、病気や障碍を持つ個体、たとえば自閉症モデルのマウスの脳に、正常な神経細胞を入れたらどんなことが起こるか、逆の場合はどうなるか、といったことを調べています。たった1個の細胞を入れてもかなり周りが影響を受けることがわかっており、病気などの改善につながることが期待されます。

また同じ移植でも、たとえば皮膚の細胞であれば、隣りにある細胞とだんだん区別なく、目立たなくなっていくだけですけれども、脳の場合は細胞の中に情報が入らなければ何の意味もありません。つまり神経細胞があればいいのではなくて、そこへ自分の情報を入れなければいけない。この意味では、仮に脳がなくても中にあるべき情報さえあれば、それはたとえば脳の外部にあっても自分である、といった技術も可能になってくるかもしれないわけですね。

たとえば今日みなさんが僕のオフィスにいらして、「海馬」というところにある細胞の活動によって、どういう場所へ来たのかという「オフィスマップ」がみなさんの海馬にできているはずです。リアルにどこかに行ったことと脳の活動がつながることで、情報というのができるんですね。これはだいたい20分ぐらいで形成されます。この細胞だけを人為的に壊して、同じ場所に別の細胞を移植したらどうなるか?─もう細胞はなくなっていますから、同じ場所へ来てもオフィスがわからなくなっているはずなんですね。逆にある場所へいったときに、強制的に刺激を与えてやると、初めて行ったところでもバーチャルにそこの情報をコードさせることができることになります。

このようにして情報を移植することができ、その方法を一般化することができたら、たとえば脳の移植をした後に何をしなければならないかといった指針にもつながるのではないでしょうか。脳の移植は医師の仕事ですが、僕は神経科学者としてその中に情報をいかにコードできるかを提示する必要があるのではないかと思っています。これから再生医療とか盛んになってきた時、このような情報という観点からの「干渉再生」は取り組むべき課題だと考えています。