file 02:18歳選挙権の問題を、教育現場から考える

学校は、市民となる若者をきちんと育てているでしょうか。近年、選挙のたびに指摘される若い世代の投票率の低さは、学校教育にも問題があると思います。

なぜ若者たちが投票に行かないのかと考えると、彼らが自らの一票がよりよい社会をつくっていくのだという、自己効力感が低いというところにその理由があるでしょう。自分ひとりが投票しても、なにも変わらないと。これは、権利とは何か、社会の一員である市民としてどう振る舞うべきか、ということを十分に学んできていないのが原因です。自分が生きている社会の課題を見つけ、考え、話し合い、改善していくという経験をしていないのです。「権利のカタログ」ではなく、たとえば、学校の中で自動販売機の設置や制服の是非をめぐって、自分たちの要望を実現するためのトレーニングをするなど、学習の機会を作ることはできるはずです。

社会の中でなにが問題になっているのか、学校の中で自分たちの希望をどのように実現していくのか、国会で話されていることが自分とどのような関係があり、自分はどうすべきかなどを考える力が必要です。格差や人権をはじめ、さまざまなテーマを、教師が創造的に授業に反映することなく、子どもたちが自分のこととして考えるトレーニングの機会が与えられなければ、それは結局、子どもたちの政治や社会に対する関心を低下させることになります。