どの分野、どんなアプローチでも同じかと思うのですが、数理的なアプローチでもやはり考えが浮かばない、うまくいかないということはあります。今扱っている問題がどれだけ本質的なのか、本質を表すものがどういう数式になるのか、そもそもその問題を解くことに本当に価値があるのか……等々、疑問は尽きません。
答えがまだないものを取り扱っているわけですから、どっちへ進めばいいかは、要するにわからないわけですね。カンとか、センスとか、ひょっとしたら運のようなものも必要になるのではないでしょうか。それらを招き寄せるには、ひとつにはよいものに触れるということがあるかもしれません。
サイエンスに限らず、芸術でも、やはり歴史に残る研究から学ぶ、よいものを実感して吟味する。そのような行為を通じて、培っていくのもひとつの方法だと考えています。