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おとなりの研究者
岡山大学大学院
環境生命科学研究科 動物応用微生物学分野
教授

東京工業大学
生命理工学院
准教授

東京工業大学
生命理工学院
教授

国立遺伝学研究所
情報研究系

国立研究開発法人海洋研究開発機構
上席研究員

file 02:化学がもつポテンシャルを生かす

私のバックグラウンドは、化学です。研究分野は高分子化学で、以前は企業で接着剤の研究に取り組んでいました。ところがあるとき会社から、DNAに関する研究のため1年間九州大学に行くようにと言われたのです。嫌でしたね。高分子化学の面白さに惹かれていましたし、そのときの研究を進めたいと考えていた。それにあのときは生物学がこの先の基幹産業になるとも思えなかったので、「どうして今になって生物学を学ばなければならないのか」と思いました。

ところが、DNAを扱ってみるとそれは生物というよりは「物質」であり化学の知識や経験、スキルが非常に有効だということが分かってきた。生物分野の研究者たちが10プロセスかかっていた実験でも、化学の知識があれば2~3プロセスというシンプルさで結果を出せました。実験の時間は短縮できるし、周囲から「なぜあんなに実験が速いんだ?」という目で見られたこともあり、化学の強みを目の当たりにしました。物質の基礎を扱う学問だからこそ、さまざまな分野に求められる知識だということを実感しました。

DNAに関する多くの研究は、がんや老化、アルツハイマーなど特定の病気などに特化して研究が進められていました。ところが私はDNA研究の領域で育ってきているわけではないので、特定のDNAやその作用などを重点的に研究するという文脈も持っていない。それによって、DNAの研究全体を俯瞰できる立ち位置にいることができました。これがきっかけになり企業から大学に移って、やがてヒトゲノム研究へとつながっていったのです。様々な人たちと巡り会うこと同様、異分野との出会いは本当に大きい。化学は異分野を結ぶことができる重要な学問だと思います。