一般的に、乳酸菌が体に良いとか、どの菌がどんな病気に効くなどと言われます。みなさん漠然と信じているかもしれませんが、私は常に本当だろうか? と思っています。
乳酸菌が体に良いのなら、ヨーグルトをたくさん食べている国の方が平均寿命が長いはずではないかと。
腸内細菌については、健康と病気に関連していると昔から言われてきたし、多くの人がそのことを信じています。でも、それはイメージや経験的なことから発せられていることであって、科学として扱える情報ではない。だったら調べてみようと思います。未知のことにとても興味をそそられます。すでに述べたように、細菌叢は細菌同士がつくる環境こそが生命システムを形成しますから、どの菌がどんな病気に効くという1対1対応のようなことは考えにくい。この複雑な環境の研究はまったく未知の世界です。結果が出るのか、どのくらい研究したらなにが分かるのかといったことは考えず、「伸るか反るか」が私にとっての研究のあり方です。