池内 了理事(総合研究大学院大学)インタビュー

大学生活は多くの人にとって社会人になる前の最後の時期です。
将来像や人生の目標を持つ大学生がいる一方で、自分がやりたいことや将来像が見えずに「モヤモヤ」を抱えた学生もいます。そこで学生団体DANNAmethodに所属する学生たちが、この「モヤモヤ」に基づいた質問をresearchmapの研究者の方々にぶつけ、彼らの大学時代の過ごし方を手本に、「モヤモヤ」解決の糸口を探ります。

先生はどのようなことを研究されてきたのですか。

僕は、観測事実を基礎にして、宇宙や銀河のような様々な構造がどのように形成されてきたのか、そしてそれらがどのように進化して現在の姿に至ったか、という宇宙の過去を調べてきました。原理的なことを知りたかったんです。空想してあれこれ頭の中で考えるのが好きなんですね。大学は理学部の物理へ行って、天体物理学や宇宙物理学を学びましたが、それはやっぱり宇宙はどうなっているのか、どのような基本原理で宇宙は進化してきたのかという、原理的な世界を知りたいという思いからでした。日本で最初にノーベル賞を受賞したのが京都大学の湯川秀樹教授で、僕はその人に憧れて京都大学に入ったんです。ただ、宇宙を選んだのはたまたまで、その当時はあまり人気がなかったという理由で天体物理学を専攻しました。僕が宇宙の進化ということを考え始めた1970年代初め頃ですが、その分野はまだまだ未開拓で、あまり研究者がいませんでした。僕は素朴に不思議だね、なぜだろうねと思うことをピックアップして、その中でも他の人が考えていなかったことを拾い上げ、数学が不得意だったのでアイディアだけで勝負するということをしてきました。

宇宙の研究は5年程前に止め、現在は科学と社会という分野で、科学者の立場から言っておかねばならないことを残すという仕事を、使命感を持ってやっています。置かれた現状における今の科学と社会との関連について、研究というよりはものを考えたり本を書いたりしています。文系の学問と理系の学問は分離していますが、科学は文化という意味で関連しています。例えば宇宙はどうなっているのか、素粒子はどうなっているのか、ということは直接生活には関係ありませんよね。しかし知ると楽しいものです。時には憧れを感じたりするのも文化で、例えばピカソの絵がなくても我々は生きられますが、ないと寂しいですよね。文化というのはそういうもので、なくても生活できるけど知っていると楽しい、逆にないと寂しいものです。だから僕は科学は文化と捉えて今色々なことを考えています。