井口 聖准教授(国立天文台)インタビュー

大学生活は多くの人にとって社会人になる前の最後の時期です。
将来像や人生の目標を持つ大学生がいる一方で、自分がやりたいことや将来像が見えずに「モヤモヤ」を抱えた学生もいます。そこで学生団体DANNAmethodに所属する学生たちが、この「モヤモヤ」に基づいた質問をresearchmapの研究者の方々にぶつけ、彼らの大学時代の過ごし方を手本に、「モヤモヤ」解決の糸口を探ります。

宇宙にはいつごろから興味があったのですか?

田舎育ちだったためか、私は小さい頃から宇宙に興味がありました。中学生の時には「天文学者になりたい」……というよりは「天文学をやりたい」と思うようになっていました。ただその気持ちがすごく強かったかというと、今から過去を振り返れば“今の天文学に対する強い気持ち”を説明することはできると思いますが、本当のところ、その時の気持ちの大きさは定かではないと思います。

大学時代での学業に関する記憶はあまりないです……。ほとんど勉強はしないで、バイトや友人たちと遊んでいたと思います。どうせ研究者の道を目指すのなら、大学時代はそれと違うことをやろうと思い、週休6日で週に1日だけしか大学に通っていない時期もありました。なので、私は、将来に対しては、気楽で深く考えず、結構楽天家だったと思います。(笑) 大学そのものにも、大学での人との出会いにも、恵まれていました。私は電気通信大学に通っていたのですが、電気通信専門の大学なのに、天文学をやらせてくれたんです。私はこういうことをやりたいんだということを先生に説明して、少しイレギュラーな感じですけれども、結局天文学を学ぶことを受け入れてもらえたのは本当に幸せだったと思います。

博士課程への進学では、やはりどう考えても親に迷惑をかけてしまうわけで、葛藤はあったと思います。修士課程は2年ですが、博士課程はさらに3年も通わなければなりません。4年制大学の卒業からは5年もさらに遅れるわけで、親は心配しますよね。だから、この道に行っていいのか、博士課程に進む3年間はどうなるのか、そもそも研究者になれるのかと悩んだと思いますが、「(人生は一度しかないので)まあいっか」ってどこかで思ったような気がします。(笑)